劇場版マクロスF

t-akata2009-11-25

聞いてくれ! 夢に戸松遥が出てきたんだ!!
っていう感じで戸松遥とのめくるめくキャンパスライフ・イン・ドリームを
「見ちゃったんだからしょうがない。」
と開き直って書き綴ろうと思ったんだけど、
そのあと「劇場版マクロスF」を観ちゃったんですよ。
なので、書かないわけにはいかない。
そうなんだよね、
「観ちゃったんだからしょうがない。」

とは言いつつも、実はまだちょっと整理がついておらず、
「余韻を引きずっていたい」心境で、パンフもちゃんと読んでない状態です。
まぁ、前編だし、ストーリーの全体像については追い追い語られてゆくでしょう。
とりあえず観た直後の感想は
「ブルーレイだ!! ブルーレイの予約はまだ始まっていないのか!!」
でした。

以下、思いのままに書きます。
ネタバレありです。

全編通して観て、やはり「マクロスは歌とバトルだ」と心の底から思った。
テレビシリーズでもおなじみの「射手座〜」や「ライオン」といった曲が使用されていたにもかかわらず、まったくもって「今さら」感を感じさせない。
それどころか、菅野よう子の楽曲も、May’nの歌声も、「これが本来の力だ」と云わんばかりのパフォーマンスを発揮していた。
テレビなんて小さな箱には収まりきらない、銀幕の大スクリーンで初めてこの曲と歌声の持つ力はフルに伝わるのだと。
そしてCGで作られた緻密なメカニックが宇宙空間を縦横無尽に飛び回る、
ハイスピードな戦闘シーンも圧巻。
CGを使ってのメカ戦は、我々の記憶にも新しい「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」で一つの到達点を得たと思っていたが、それは大きな間違いだった。
「破」で培われた技術が、今度は「マクロスF」というまた別の文法によって再構築され、疾走感と爽快感に満ちたバトルシーンを作り上げている。
マクロスFのデジタルワークスは、SFロボットアニメに不可欠なメカニックの「リアリティ」と「カッコ良さ」、その二つを矛盾無く一つの画面の中に存立させて、「『破』ですら過渡期だった。」ことを我々に示したのだ。
そしてその技術がヱヴァのためだけの特殊な表現方法ではなく、どんなアニメにも転用できる実用性を証明した。この点についても、本作は重要な試金石であると言える。

そして何より、それら単体でも十分に通用する力を持った素材たちを、一つのシーンの中にまとめ上げた演出の手腕。
一般的に、アクション映画に限らず、映画のクライマックスに、そのシーンに合わせた曲や歌が流れれば、観客は高揚感を覚え、気分を盛り上げることができる。
しかしそれは、同時に「本当は音楽が聞こえるはずは無いので、これはお芝居です。」と自分から宣言しているのと同じことであるため、観客は「これはお芝居です」という「但し書き」を頭のどこか隅っこに貼っておかなければならない。
だが、マクロスでは「戦いの最中に歌を歌うこと」は必然であり、そうしなければならない。したがって、この「但し書き」が一枚不要になり、フィルタが減った分、より戦闘の臨場感に身を委ねることができるのだと私は分析する。

進化し続ける「技術」と類い稀なる才能に裏打ちされた「歌」と、それらを支える緻密でいて強固な土台である「世界観」。このトライアングルが奏でるハーモニーが、マクロスFのバトルシーンを、エンターテイメントを超越した「芸術」の域にさえ昇華させている。
なんていうかもう、ここまで読んでいる暇があったら、劇場に急ぐんだ!!と叫びたい気持ちでいっぱいです。

そしてここから先は観た人向けのややディープめSF話。
終盤のクライマックス、ギャラクシーを襲うバジュラたちは、フォールドしてギャラクシー難民船団を追撃するのかと思いきや、フロンティア船団へと仕掛けてきます。
目的は強烈なフォールド波の発生源・ランカなわけですが、そもそも何でこのタイミングでバジュラはランカの所在を察知したのか。今までにもランカが歌を歌ったことはあったはずなのに。
私はこれを「シェリルのイヤリングのせいだ」と思いました。
シェリルのイヤリングは、フォールド波を増幅したり媒介したりする特殊な性質を持ったクリスタル(あくまでTV版での設定ですが)です。そして、対となっているイヤリングは、どうも「つながっている」らしいことが、劇中、アルトがシェリルのイヤリングの片われを付けるシーンで描かれています。ここから、クライマックスシーンでは、シェリルの歌がイヤリングで増幅された上に、それがイヤリング間のフォールド波に乗ってギャラクシー船団戦闘宙域まで届き、バジュラはそれを逆にたどってフロンティアまで来てしまったと解釈することができる。「お守り」として渡したはずが、自らを危険にさらすことになってしまうとは。
と、ここまで書いて、「アイくんがランカの歌を直接仲間に知らせたっていう線もあるなぁ」と思ってしまいました。いや、でもライブ前にランカの歌を聞いて光ってた時には、バジュラは来なかったしなぁ。
とはいえ、フォールド波とかが何であるのか、もしかしたら後編で設定が深まったりするかもしれないので、やっぱり後編を待つしかないですね。

あと、三角関係の行方が気になる方。「CONTINUE」のインタビューにて、河森監督は「アルトには結論を出してもらいます」と言ってました。決着を付けてくれるらしいですよ。