大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

t-akata2010-01-31

この土日で映画を5本も観てやりました。
しかも5本中、アニメはなんと「東のエデン」と「リリカルなのは」の2本だけ。
じゃあ残りは何かっていうと、
仮面ライダーウルトラマンシンケンジャー
カテゴリ的には一緒ですね。

どうしてこんなことになったかと言うと、
「特典付きを買ったはいいが観に行かないまま腐りそうになっていた前売券たち」
を発掘したからです。

ウルトラマンとかもうヤバかったですね。
都内で上映している館が無く、仕方ないので
入間市からわざわざ神奈川県は港北ニュータウンまで足を運んでみたり。

でもって「ここまで来ちゃったらもういいや」とばかりに、
新作を含めて観ようと思っていた映画を一気に観てやろうと思いまして。

我ながら、思い立ってからやることが極端で困りものです。


「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」
かつて、ウルトラマンたちの力の源・プラズマスパークに手を出そうとした悪のウルトラマン「ベリアル」。怪獣を自在に操る力を持つレイオニクスとなった彼は、ウルトラ戦士たちとの壮絶な戦いの末に幽閉されていた。しかし、全宇宙支配を目論む宇宙人の手によって、長い眠りから目覚めさせられてしまう。ベリアルの圧倒的な力の前に、歴代ウルトラ戦士たちも成す術が無く、ついにプラズマスパークを奪われてしまう。残された戦士たちは、スパークを取り戻し、再び銀河の平和を取り戻すことができるのだろうか…!


本作は、配給がそれまでの松竹からワーナーに変わっていることもあってか、
シリーズを通じて「初」となる要素がふんだんに盛り込まれている。
例を挙げると、ウルトラマンの故郷である「光の国」が、映像作品としては初めて物語の舞台となること、シリーズ初の「光の国出身」の純粋な「悪のウルトラマン」の登場、「ウルトラ大怪獣バトルシリーズ」との共演、ウルトラセブンの息子「ウルトラマンゼロ」の登場など、シリーズのファン以外にもアピールできるトピックスも多い。

映像面では、光の国を含めたほとんどすべての背景をフルCGで描写する一方、ウルトラマンのアクションについてはすべて実写による撮影を行うという、意欲的な試みがなされている。ウルトラマンの飛行やバトルシーンのジャンプなどはワイヤーを使っており、それまでに無かったバトルシーンを演出している。

何度となく行われてきた「ウルトラヒーロー夢の共演」だが、今回は「光の国」という舞台も含め、旧来からのファンも満足できる内容になっている。
メインのTVシリーズ以外で作られた設定が随所で生かされており、個々のウルトラシリーズが違和感なく融合を果たしている上に、思わずニヤリとしてしまう要素ばかりだ。

公開もほぼ終わりなので、ストーリーを追いつつネタばれも含めて思いっきり語らせていただきます。
そしたらウルトラ豆知識だらけになりました。
一見さんには優しくない作品レビューだなぁ。

冒頭。宇宙を駆ける青と赤の光球。一つは怪獣ベムラー。もう一つはそれを追うウルトラマンメビウス。言わずと知れた初代ウルトラマンのファーストシーンへのオマージュだ!(とは言っても、飛行機と激突したりはしない)
ウルトラ怪獣第1号として知られるベムラーではあるが、劇場版への出演は実はこれが初となる。ここからもう、ファンとしてはテンションが上がりっぱなしです
ベムラーを倒し、光の国に戻ったメビウス。光の国は広大で、どこもかしこもクリスタルっぽく輝いている。光の国のビジュアルイメージは様々な機会に登場しているが、「非常に高度な科学技術」と「中央の巨大なタワーにプラズマスパークがある」ことぐらいが共通設定だったぐらいで、今回舞台となるにあたって、建築物などの設定が固められたようである。
帰還したメビウスを迎える先輩ウルトラマンたちがマントを付けている。光の国において功績を残したものは、その栄誉をたたえ、マントを羽織るのだ。これは、内山まもるウルトラマンのファンにはおなじみの設定で、地球での激闘を戦い抜いたウルトラ戦士が実写でマントを羽織っている姿には、ちょっと眼頭が熱くなる。本当はこの世代じゃないんだけど。
光の国には、ウルトラマンたち戦士の他にも、多数の一般市民が登場する。まぁ、エキストラなので「ウルトラマンぽい」人々です。
ウルトラマンベリアルが幽閉されている宇宙監獄に侵入する「にせウルトラマン」ことザラブ星人。光の国へ潜入するにあたり、ザラブ星人をチョイスするあたりが心憎い。
復活したベリアルは、武器であり、怪獣たちをコントロールできる強力なアイテム「ギガバトルナイザー」を手にし、立ちはだかるウルトラ戦士たちを次々と蹴散らしてプラズマスパークの元へと突き進む。歴戦のウルトラ戦士たちがヤムチャとか天津飯よろしく割と短い尺で「ベリアルの強さアピール」のために倒されていくのは、ファンとしては悲しいところではあるが、一連の戦闘シーンの中にちゃっかり『光の国出身?』と、設定が曖昧だったウルトラマン(パワード、グレート、USAの3人、マックス、ゼノン)たちも登場していて見逃せない。
ウルトラ戦士たちの抵抗も空しく、プラズマスパークはベリアルに奪取され、光の国は凍りついてしまう。からくも脱出したメビウスが向かった先は、惑星探査中のZAPメンバーのもとだった。
本作で「ウルトラマン」と「大怪獣バトル」をつなぐのが、かつて怪獣たちを操って銀河を支配していた「レイブラッド星人」の存在。「怪獣を自在に操れる能力」を持つ者は「レイオニクス」と呼ばれ、「バトルナイザー」を使うことによりその力を発揮することができる。メビウスは、レイオニクスとして怪獣を操る力を持つ地球人・レイに、同じく怪獣を操る力を持つベリアルを止めるべく協力を求めに行ったのだ。
そう、ウルトラマンでありながらレイオニクスであり、プラズマスパークの力を得たベリアルは、いまや最強にして最悪の存在となったのだ!
何というか、よくぞここまでウルトラ世界においての「最強」を詰め込んだもんだ。
これで「ウルトラキーでも倒せない!」だったらさらに凄かったんだが。残念ながらウルトラキーは出ませんでした。
「大怪獣バトル」の方は全くの未見だったんだけど、主人公「レイ」が主に操る怪獣が「ゴモラ」ということで、会場の子どもたちからも「がんばれゴモラー!」などと声援を送られていました。ゴモラウルトラマンと共闘する上に、子どもから声援を受けるようになっているとは。でもこれって、小さい頃の遊びの中では「アリ」だったような気もする。お気に入りの怪獣は「改心した」とか言ってウルトラマンの味方にしていたような思い出がある。そういうのが時代を超えて映像となっている上に、それでも変わらず子どもたちの支持を集めていることは、何だか感慨深いものがある。
ちなみに、ZAPメンバーを襲う怪獣ザラガスは、初代ではゴモラのスーツを改造して作られた怪獣である。そのザラガスゴモラと戦うというのは、まさしく「夢の対決」。しかも、このザラガスのスーツも、「大怪獣バトル」のゴモラのスーツを改造したものだというから、スタッフのこだわりは並大抵のものではない。
メビウスがレイに語る光の国の回想シーンでは、ウルトラ戦士たちの過去の姿が見られるのもまた嬉しいところだ。ウルトラの父は現在より角が小さくてヒゲが無いとか、ゾフィーはボタン(?)が無いとか。さらに、スパークを浴びて超人となる前の住人の役を、初代ウルトラマンスーツアクター古谷敏氏と前述したウルトラ漫画の第一人者・内山まもる氏が演じている。これまた見逃せないキャスティングだ。
レイを連れて光の国に戻ったメビウスは、ドラコ、ベムスターサラマンドラの三大怪獣と、それを操るシャプレー星人に襲われる。そのピンチを救うのは、セブンが操る三大カプセル怪獣ミクラス、アギラ、ウィンダムベムスターを圧倒するミクラスが何とも頼もしい!お前、そんなに強かったのかよ!
ちなみに(この単語が多いよ)、セブンのカプセル怪獣三体が揃うのも、今作が初である。
一方そのころ、惑星K76では、ウルトラマンレオとともに特訓を行っている、謎のウルトラ戦士がいた。このプロテクターに身を包んだ戦士こそ、「無限の可能性を秘めた戦士」、セブンの息子「ウルトラマンゼロ」である。面倒なのでゼロに関してはここで一気に解説してしまうが、ゼロはかつて、力にあこがれるあまり、ベリアルと同じように、プラズマスパークに手を出そうとした。それは未遂に終わったものの、大罪であることには変わりなく、光の国からの追放処分となる。どういう経緯かは明確にされていないが、セブンの計らいでレオに預けられ、一人前のウルトラ戦士となるべく、拘束具を付けられながらも特訓に明け暮れている。特訓の中で「弱い者を守ろうとするのが本当の強さ」であることを知ったゼロは、レオとキングに認められて、父の窮地を救うべく最終決戦へと飛び立つ。セブンが自分の息子をレオに預けるというところから、レオに多大な信頼を置いていることが伺える。何となくボンボンに連載されていた「超闘士激伝」を彷彿とさせる展開だ。ゼロに関しては、「『セブン』の息子なのになんで『ゼロ』なんだ?」とか、「セブンより強いことの象徴として『アイスラッガー』が二本ってどうなのよ?」とか、「鋭角的なデザインラインと目の形、宮野守の声、カラーリングのせいでガンダムっぽい」とか、ツッコミどころはかなりあるが、何かもうそれまでの設定を生かしきった展開のおかげで、かなり許してしまっています。
そしてまたしても一方そのころ、レイを助けるべく光の国へ向かうZAPメンバーは、宇宙竜ナースとゼットン星人の襲撃を受ける。それを救うのはつるの剛士演じるアスカ・シンことウルトラマンダイナだ! ダイナは光の国出身じゃないけど、「旅をしている」とかいうことで、助っ人として参戦する。いわゆる「平成ウルトシリーズ」に名を連ねるダイナは、光の国との関連は全く無い「地球のウルトラマン」だが、こういう形で共演ができてしまうのも、シリーズの懐の深さが伺える。
そして最終決戦の舞台となるのは、これまでウルトラマンに倒された怪獣たちの魂が眠る「怪獣墓場」。怪獣を自在に操れるベリアルが、強力なエネルギーを手にして向かった先が「怪獣墓場」だというのも、これまた設定を生かした上手い展開だと思いませんか?
そこでやることはもちろん、100体を超える怪獣たちを復活させること!
蘇った怪獣軍団とウルトラ戦士たちの総力戦が幕を開ける!!
ここから先はもう敢えて語るべきことは少ないんだけど、息子に銀河の運命を託して倒れるセブンとか、追いつめられたベリアルの切り札、「すべての怪獣を合体させた究極の大怪獣ベリュドラ」など、一瞬たりとも目の離せないクライマックスをその目に焼き付けてもらいたい。

さて、延々と語ってしまいましたが、本作はウルトラシリーズが好きな方には是非観ていただきたい、シリーズの集大成ともいえる大作です。
誰もが夢見る「ウルトラマンたちの夢の共演」を、旧来の「光の国」などのキーワードを生かす形で実現させたことは、シリーズのファンとしてはこの上無く嬉しいことです。新しく設定を敷いて、結果説明だらけになってしまった「超ウルトラ8兄弟」とは、まったく逆の試みが実を結んでいることを評価したい。
しかしながら、それでもウルトラマンの持つ様々な「魅力」を網羅しきれているというわけでもなく、例えば、TVシリーズで評価の高い「社会派的なテーマへの切り込み」や、「日常的な町並みの中に突如現れる怪獣や巨人」、「地球人との交流の中で成長する異星の戦士」など、オミットされた要素も少なくない。まぁ、舞台が地球じゃないから、当たり前といえば当たり前だし、そこまで盛り込もうとしたら作品が破綻してしまうだろう。そちらはまたTVシリーズならではの魅力として、「劇場版」という「お祭り」を楽しむのがいいんじゃないでしょうか。

とにもかくにも、これこそ「僕らが観たかったウルトラ映画」であることは間違いない。
40年、いや、26万年におよぶウルトラサーガの結晶を、その心に刻んでいただきたい。
ウルトラマンは、今日も銀河のどこかで戦っている。
ウルトラの星は、今日も空の彼方に輝いている。


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