さよなら1月期アニメくん

2010年1月期アニメ

4月ももう下旬だというのに、3月終わりの作品について何も総括できていなかったですね。
瞬間的な感想はつぶやいて満足してしまっているというのもあるんですが。
それでは1月期アニメとその期間に観た作品たちをざざっと駆け足で。


なんか日をまたいで書いてるおかげで、語り口調が統一されていませんが、その辺はご了承ください。



ソラノヲト
 作画や志だけは高かったという感じで…。なんというか、「素晴らしい!」「感動した!」みたいな評価もいくらか目にしたんですが、一旦冷静になってみると、この作品は「絵はキレイだったけど、別に面白くはなかった」と思います、
なまじ絵がキレイだったばっかりに、スタッフの「戦争アニメごっこ」に不本意ながら付き合わされた感じでした。
3年後、もう一度観たいアニメというわけでもない。というか、裏でプリキュアやってたらそっち観ます。



バカテス
全編とおして作品の「勢い」を貫き通したことがまず素晴らしいと思います。
それぞれのキャラが自らの「属性」や「行動原理」に忠実に動いていて、なおかつ
面白いという、近年では稀に見る出来の学園ラブコメ
唐突にキャラが死んだり、ヤンデレ化したりするような不安を一切感じさせず、
ギャグに徹しながらも、
明久が「バカであること(=一途であること)が何よりも強いんだ」という
後味の良い、鮮やかな着地でした。
「何も考えずに楽しく観られる」という娯楽を全力で提供していただいたスタッフのみなさんに
感謝の念を禁じえません。



ひだまり
新キャラ追加という変化はあったものの、全体的な調子は前期までと変わらない安定感でした。
日常生活のちょっとしたことがネタの中心なので、「始まる」という感じも「終わる」という感覚も薄いのですが、
もし4期まであるなら、新入生2人にはもっとなじんでいてもらいたいなぁと思う次第です。
あと、キャストの方では乃莉ちゃん役の「原田ひとみ」がちょっと気になります。
声優としての活動歴は浅いのに、前述のバカテスの正統派乙女チックヒロイン「姫路瑞希」や、「ささめきこと」での「蜂賀朋絵」など、全く異なるタイプのキャラクターを演じていることに驚かされました。



はなまる
「ょぅι゙ょ」が主役の作品でありながら、「ょぅι゙ょ」という属性の人気に甘んじない、細部にまでこだわりの行き渡った印象の作品でした。
(ここからネタバレ)
つっちーを挟んで山本先生と杏の三角関係らしきものを描いていて、その恋模様の行方を期待していた人も居たんじゃないかとは思いますが、終盤の展開は「そういうもんじゃないよね」という感じの流れに落ち着き、ホッとしました。
具体的に言うと、「いくらなんでも幼稚園児相手に本気になっちゃダメだろう」というのと、「好かれたいならまず仕事しっかりやれよ」という作り手側からの意図を感じたので。
ょぅι゙ょや保母さんの破壊力だけで人気を取ろうと思ったら、いくらでも作品をそちらに傾けることはできただろうけど、そればかりに留めておかないというのが、全体的に深みを与えているのだと思いました。
印象的だったのが、夢の中で杏が成長した姿になるシーン。
夢の中だから脈絡のない設定や展開になるのは当然なんだけど、最初は「つっちーに会いに行こう」としていた杏が、それをいきなり忘れてしまい、その上、他の人たちのことまで忘れてしまっているという展開。そうだよな。幼稚園の頃のことなんて忘れるよなこれぐらいの年齢になれば。その後登場するつっちーもあくまで「理想の恋人」の記号として杏の前に現れているようにしか見えなかったので、何となくそういう受け取り方になったんじゃなかろうか。
少なくとも杏の成長を暗示していたシーンだったと思います。



君に届け
ちょっと不器用だけど「等身大」な少女たちの成長を丁寧に描き切った名作でした。
1年にも満たない期間を描くのに2クールもかけるというのは、昨今では珍しく感じられますが、踏み出そうとしては立ち止まり、思い悩んでは行ったり来たりしながらも、ゆっくりと前に進んでゆこうとするいじらしい爽子の姿や、そのひた向きさが周囲に集まる人たちの心を徐々に動かしていく様子を描くには、十分な期間だったのではないかと思います。
2期にも期待しているところではありますが、私も漫画に合流しようと思います。



とある科学
オトナアニメでも「時代劇」と言われていた通り、おおまかなストーリーは実にシンプルだったはずなんだけど、全体のクオリティが高くて素直に面白い作品でした。禁書目録の方のウリであろう「上条さんの説教」が無い分、ドラマで魅せてみたり、痛快なアクションで魅せてみたり、飽きさせてくれない半年間でした。
OP主題歌が前半後半ともにオリコン3位にランクインしたというTOPIXもありました。もともとの楽曲のクオリティの高さもさることながら、アニメ本編との親和性の高さは、作品そのものを盛り上げるのにも一役買っていたと思います。こうしたアニソンアーティスト(本編にもゲスト出演してますが)が手掛けるハイクオリティかつ本編とのマッチング度の高い楽曲が、これからもアニソンのスタンダードであり続けていってもらいたいと思う次第です。



にゃんこい
AICの描く女の子が可愛い、ドタバタ学園ラブコメでした。作品そのものは非常に面白かったです。面白い割に地味な印象で、あまり知られていないのが残念です。
私も「戸松遥が性格の異なる双子の役を見事に演じ分けている」ことをもう少し早く知っていれば、リアルタイム視聴していたと思います。
やっぱ、ピンク髪キャラとか居ても良かったんじゃなかろうか。
あと、個人的に小林ゆうの「キてる人」の演技がどうも一本調子な感じがして、そこは残念。



東京マグニチュード8.0
災害時のサバイバル術講座みたいなのを期待して観ると、ヘビーな展開に面食らうかも知れません。要注意。
かといってグロシーンがあるわけでも無いんですが、単純に「ゾッとする」演出が多くて怖かったです。
最初の激震で弱った高架や建物が、避難している人たちの列に崩れ落ちたりして、
「もしあそこに居たら…」という想像力を嫌でも刺激させられる、
結構ハードな作品でした。
「災害が起きれば、人は簡単に死ぬ」という、明日にも起こり得る、私たちの生活のすぐ裏側にありながら、あまり意識されていない題材をしっかりと描き切った作品でした。



攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL
サイバーパンクアクションアニメの先駆として、当時まだ発展途上だったデジタル技術を導入し、それまでにないアニメーション映像を作り上げた作品として注目を集めた作品。だが表現技術面だけでなく、本作の「人間(情報の集合としての意識)と電脳(その意識の受け皿)との関わり」というテーマは、現在にも通ずる普遍性を持っていると感じた。
人間とネットとの関係が、産業のみならず、娯楽や生活の内部まで浸透しきっている現在では、むしろ先鋭化されてきているテーマであるとすら思える。ネットの海は広大で雑多で欠陥だらけだが、それを利用する人間の自意識を知らぬ間にその海の中にまで広げているという現実を、裏から支える理論や哲学や文化は未成熟だ。
ネット社会との向き合い方が個人によって異なっているがために起こる悲劇は後を絶たない。
攻殻機動隊の世界観は、そういった向上し続ける科学技術と、それを利用する人間との関わり方が不明瞭なまま進んでいった時代の物語のようにも受け取れる。
「意識や人格が情報として置き換えられるのであれば、その中で生きる人とは何なのか。己とは何なのか。」
少なくとも、インターネットを利用することが生活の中で不可欠となる世代が、社会の中で大半を占めるようになる頃に、一度は意識されなければならない課題だと思う。


それとは別に、特典映像として、スタッフインタビューや、アニメーション製作の現場取材、解説が充実していて、大変勉強になりました。アニメーション表現技術の進歩を実感できるので、ただのオマケと侮っては勿体無い。こちらもお勧め。
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