あれ?ホントに2010年のアニメ映画か?「劇場版トライガン」

劇場版トライガン

二つの太陽が照らす荒涼とした大地。百余年前に地上を襲った災害のため、高度に発展した文明はほとんど失われ、人々は砂に覆われた世界の中で、いつ奪われるとも知れない日常を生きるしかなかった。
そんな殺伐とした世界に生きる一人の男「ヴァッシュ・ザ・スタンピード」。行く先々で破壊と混乱を巻き起こす彼には「人間台風(ヒューマノイドタイフーン)」の異名と600億$$の賞金があてがわれていた。


同名の漫画を原作として、TVシリーズも放映された作品の劇場版。原作はすでに完結しているが、映画のストーリーは新規に作り起こされた新作となっている。舞台となっているのは原作前半期のドタバタした部分で、コメディありガンアクションあり人情話ありと、痛快な娯楽作に仕上がっている。原作のシリアス部分が好きなファンには物足りなさを残すかも知れないが、原作完結後にTVアニメと同じスタッフが、原作者とキャッチボールを重ねて作り上げた作品なので、個々のキャラクターたちの魅力は余すところなく詰め込まれているはずだ。


本作の一番の良いところは「分かり易い」こと。登場キャラクターたち一人一人の性格や立ち位置がしっかりしていて、パンフレットの人物紹介を読む程度で(とは言ってもバレの危険があるのでHPとかで見ましょう)ほとんど全部把握でき、あとはめまぐるしく動き回るスクリーンを見ていればいいだけという、模範的な娯楽作です。


作画面では、今どき珍しくCGがほとんど使われていないことが印象深いです。銃やモブなど、CG処理で作業を短縮できそうなところはたくさんあるのに、「敢えて」なのか、「TV版との印象に差が生まれないように」なのか、とにかく背景から小物から、手描きの味にこだわっているように受け取りました。何というか、画面の端まで世界観を行き渡らせているという感じ。背景に居るモブの一人一人まで丁寧に描き込まれている上に、ちゃんと動いているので、酒場での大乱闘シーンなどは圧巻です。人の多いシーンだけなら、ジブリっぽい印象すら受けます(なぜかパンフなどにも、スタッフのCGへのコメントが無いんですけど)。
この作画へのこだわりのせいか、どことなく90年代の「マクロス7」あたりの時代の映画を観ているような錯覚さえ覚えます。メインキャストがゲストも含めて中堅以上のベテラン声優ぞろいなところにも要因はあると思いますが。


まぁ、この辺の細かいところは気にせず、原作を知らない人でも大いに楽しめる、ガンアクションエンターテイメント映画「トライガン」。多分、こう紹介されて観に行くあなたの期待は(良くも悪くも)裏切られません!


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