花澤香菜の声に思う存分萌えようぜ!!「劇場版“文学少女”」

文学少女

聖条学園に通う高校1年生、「井上心葉(このは)」は、ある日の放課後、木蓮の木の下で読書に耽る少女を見つける。その清楚な姿に思わず見蕩れてしまった心葉だったが、次の瞬間、彼女は読んでいた本のページを破り、食べてしまった。その出来事に理解が及ばぬうちに、心葉はその少女に誘われるまま、文芸部に入部させられてしまう。
一人しか部員のいなかった文芸部の部長「天野遠子」は、心葉の一つ上の先輩。物語を「食べちゃいたいくらい」愛してやまない先輩のために、心葉は物語を書く毎日を過ごしていたのだが…。


小説「文学少女」シリーズを原作とする劇場アニメ作品。文学少女アニメ化プロジェクトは本作を皮切りにOVAシリーズでの展開が予定されている。
表題となっている文学少女こと天野遠子は、その愛称が示すとおり、読書が好きでたまらない高校生。可憐で清楚な印象とは裏腹に、思い込みがやや強く、行動力にあふれている点も魅力的なキャラクターだ。
しかしながら本作の主人公というかストーリーの中心に居るのは後輩の井上心葉の方。部室で先輩の「おやつ」として、物語を書いては食べられるという毎日を送っている。どうしてそんなにたくさん物語が書けるのかという所から、彼と彼の周囲の人物たちの過去にまつわる物語が始まる。
(どうでもいいけど、肉筆で埋めた原稿用紙を書き上げた端から食っていく遠子先輩の姿には戦慄しました。せっかく書いたんだからコピーぐらいとらせてあげて…)


原作は全く知らずに臨みましたが、正直な話、冒頭3分経たずに私は遠子先輩にメロメロでございました。
校舎の植木の下で、体育座りをして、文庫本をめくり、風に長い三つ編みがゆれる。
「こんな可愛らしい子から、このあと花澤香菜の声が発せられるなんて…!!」
そう思ったらもう、セリフを聴く前に恋に落ちておりました。心葉くんと大体同じタイミングだと思います。


そんな魅力いっぱいな遠子先輩ですが、ストーリーには実質絡むことが少なかったのがやや残念なところ。でもまぁ彼女の存在そのものが心葉くんを終始支えていたと思えばそれも納得と言ったところでしょうか。
花澤香菜の他にも、水樹奈々平野綾豊崎愛生といった、今をときめく人気女性声優たちが出演しているのも見どころの一つ。
特に、もう一人の主役とも言うべき朝倉美羽役の平野綾は、良い感じにムカつく(誉め言葉)演技をしていて、良いスパイスになっているのではないかと思いました。ただこのキャラクターの痛々しさは人を選びそうでなかなか手ごわい面もありますが、最終的には昇華されるので、投げ出さずに最後まで観ていただきたいです。個人的には、この事件を経た後の彼女は良い作品を書けるのではないかと思っています。


なお、作中には「銀河鉄道の夜」をはじめとした宮沢賢治の作品がいくつか登場しますが、そちらも未読でも特に差し障りはありませんでした。


文学少女」という言葉と原作イラストから伝わってくる詩的な透明感を、遠子先輩の魅力とともにあますところなくフィルムに閉じ込めた一遍「劇場版“文学少女”」。あまり本を読まない人にももちろんおススメです。
うっかり実写でやられなくて本当によかった。


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