メカと魔法と美少女が生んだ「絆」描写の奇跡:ストライクウィッチーズ2

ストライクウィッチーズ

アニメをはじめとした物語において、何が「感動」を生むのか。
それを実にシンプルで秀逸に示したのがストライクウィッチーズ2第6話「空より高く」だったと思う。
「最終決戦」などの大きな事件を除けば、「使命を達成する」「困難を克服して成長する」「仲直りして絆を深める」などが1話完結ものの軸になることが多い。この回の一連のストーリーは、それらをキャラクターの魅力・作品の世界観と絶妙に調和させ、シリーズ屈指の名場面として組み上げられている。


 大まかなあらすじとしては、地上30kmにあるネウロイ(敵)のコアを破壊するため、501小隊の中からそれぞれ攻撃と防御を担当する二人のウィッチが任務に当たることとなる。攻撃を担当するウィッチには瞬間的な火力で最強を誇るサーニャが選ばれる。サーニャと最も仲の良いエイラは防御担当に志願するが、彼女は自分の魔法スキル「未来予知」による見切りに頼っていて実戦では一度も魔法シールドを張ったことが無かった。エイラは任務から外された上そのことでサーニャとケンカしたまま作戦をむかえてしまうが…。
 結局エイラは当初のシールド担当芳佳と土壇場で交代し、サーニャと共に成層圏に飛び出すことに。攻撃に集中するため防御できないサーニャを守るべく、ついにエイラは演習でも一度も張れなかったシールドを展開する。そしてサーニャの砲撃によってネウロイは沈黙、任務は無事に完遂される。
 この後の仲直り会話シーンの1カットが画像である。成層圏であっても魔法力に護られたウィッチなら活動は可能だが、大気が薄いため会話はできない。そのため画像のようにおでこを付き合わせて話すしかない。
この二人のシーンから、ガンダムシリーズでの「宇宙服のヘルメットをくっつけて会話する」様子を連想したアニメファンも少なくないだろう。SFではある種の定番、空気の無い宇宙空間で会話するための必然だが、ガンダムF91のクライマックスなどでも見られた人物同士の距離の近さを示す効果的な演出だ。だがストライクウィッチーズでは「宇宙服」でなく「生身」で行う必然性をこのシーンに持たせたという点で、ガンダムをはじめとするSFシリーズよりも一歩踏み込んだ「絆」の表現に成功したと言えるだろう。(※ただし異能力者たちの精神共有的なものは除く)
 エイラ自身のコンプレックスや親友との行き違い、それらの不和は、一連の「克服」と「より深まる絆」と眼下に広がる広大な「還るべき場所」によって昇華される。科学や魔法を土台とした上で、それらを絶妙に生かしきった秀逸なシナリオだった。


 「パンツじゃないから〜」に話題を持って行かれがちだが、こうした構成の細部には、やはりメカニックやSF好きのこだわりが垣間見えるストライクウィッチーズ。メカと美少女が好きなら文句無しにオススメする一作だ。
※ただし、百合に目覚めてしまっても当方は一切責任を負わないものとする。


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